熱時定数
熱時定数とは、サーミスタが周囲温度の変化に応答するまでに必要とする時間を計測するものです。技術的定義では、「熱時定数は、ゼロ負荷条件下で段階的に温度を変化させた場合に、サーミスタの初期温度および最終温度の合計温度差のうち 63.2% 変化するまでに必要な時間のこと」とされています。
熱時定数はテストが行われる媒体に影響を受けます。たとえば、静止している空気よりも動いている空気の中で、または静止している水よりも動いている水の中で、熱時定数は短くなります。
サーミスタの熱時定数を測定するために最もよく利用されている方法は、室温の静止空気に装置を置くというものです。そして、適切な負荷をかけてサーミスタ本体の温度が周囲温度を上回るようにします。温度が高くなった状態で熱が安定するまで、負荷をかけ続けます。その後、サーミスタへの負荷を停止すると、それと同時にタイマーが発動します。サーミスタの抵抗値は継続的に監視され、サーミスタ本体の温度が上昇時の温度と周囲温度の温度差の 63.2% まで下がったことが示されると、タイマーが停止します。示される時間は 1 つの時定数を表し、通常は秒単位で表示されます。
これはサーミスタおよびサーミスタプローブアセンブリの熱時定数の測定に最も一般的に利用される方法ですが、すべてのアプリケーションに対して最善の方法であるとは限りません。たとえば、サーミスタプローブアセンブリが液体の温度制御向けに設計されている場合、静止空気で「自己発熱」を利用するよりも、液体温度の段階的変化を利用して熱時定数の測定を行う方が、通常は最適とされています。
一般的に、サーミスタやサーミスタプローブアセンブリのサイズが物理的に大きいほど、熱応答に係る時間は長くなります。しかし、熱伝導率、熱質量、表面積と質量の比、リード線のステム伝導率など、他の要因も熱時定数に大きく影響する場合があります。