UL 1449 第 3 版の要件およびお客様の設計:
リテルヒューズは新基準への準拠を支援いたします
記事セクション:
UL 1449 第 3 版の変更の概要
エンドアプリケーションの設計との関連
新基準への準拠を実現するリテルヒューズのオプション
追加情報へのリンク:
記事:熱保護型 MOV を搭載した設計
リテルヒューズ UL1449 認定バリスタ製品選定表
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基本情報
アンダーライターズ・ラボラトリーズ UL 1449 第 3 版規格の発表に伴う変更に関する記事が多数出版されています。これらの記事では、変更が非常に広域におよぶため大規模な変更を実施せずに既存の設計を応用することはほぼ不可能であると指摘しています。しかし実際には、そのようなことはありません。既存の設計の多くが新基準を満たしており、新しい標準規格に適合するという証明書を取得するだけで済みます。
この記事は、読者の皆様に標準規格の変更点と設計との関連性をご案内し、新規格に適合するリテルヒューズのコンポーネンツおよび代替製品に関するガイドを提供するものです。
UL 1449 とは
アンダーライターズ・ラボラトリーズの標準規格 UL 1449 は、サージ保護デバイス (SPD) に対する基本的な安全保護基準となります。これには、AC 電気回路の保護に使用される SPD の材料および設置要件が記載されています。
この標準規格は、この数年間で 2 回改訂されています。主要な安全試験イニシアチブ(UL 1449 第 2 版)は2007年2月、管理および手順に関する追加変更(UL 1449 第 3 版)は2009年9月に有効になりました。第 3 版には、新しい独立した性能試験要件も含まれています。
UL 1449 第 3 版は、旧バージョンより完全に優先されます。2009年9月から、市場に出荷されるすべての装置がこれらの新要件に適合し、UL ラベルを取得しなければなりません。
実質的に北米におけるすべてのサージ標準規格が第 3 版を基準としており、現在は UL 1283、2008 米国電気工事規定 (NEC™) 285、NEMA LS-1、ANSI/IEEE C62 文書などを含むその他の基準に意識的に準拠しています。
UL 1449 第 3 版の変更の概要
UL 1449 第 3 版の基本的な変更点は次の通りです:
用語変更:サージプロテクターの名称が、過渡電圧サージサプレッサ (TVSS) からサージ保護デバイス (SPD) に変更されています。
サージアレスタの統合:この変更により、UL の SPD 性能および安全基準に二次サージアレスタが追加されました。いくつかの主張に反し、これにより現在市場にあるすべての二次アレスタオプションを交換する必要はありませんが、サージアレスタはタイプ 1 SPD スペック(以下で説明)に適合していなければなりません。
4 つのタイプ分類:
旧版の UL 1449 では、サージ保護デバイスは永久接続とコード接続の 2 タイプに分類されていました。第 3 版ではこの制度が廃止され、配電システム内の位置により SPD を 4 タイプに分類しています。
タイプ 1 - サービス変圧器の二次側とサービス装置過電流デバイスのライン側ならびにロード側の間の設置を目的とする永久接続 SPD であり、積算電力計ソケットエンクロージャを含み、外付けの過電流保護デバイスの設置を必要としないもの。
タイプ 2 - サービス装置過電流デバイスのロード側への設置を目的とする永久接続 SPD。分岐パネルに設置された SPD を含む。
タイプ 3 - 配電パネルから使用地点までのコンダクタの長さが最低 10 メートル(30 フィート)となる使用地点 SPD。保護対象となる利用設備に設置される、コード接続型で直接プラグイン式のレセプタクルタイプおよび SPD など。距離(10 メートル)には、SPD と共に提供される、または SPD に付属するコンダクターは含まれません。
タイプ 4 - 単体コンポーネントおよびコンポーネントアセンブリを含む、コンポーネント SPD。
クランピング電圧試験における変更:UL 1449 第 2 版に基づく試験は、500A、 6,000V で実施されていました。新しい試験は 3,000A、6,000V で実施されます。サージエネルギーが 6 倍になり、そのため制限電圧も高くなっています。さらに、デューティサイクル要件も変更になっています(以下参照)。試験に関し、おそらくこれが最大の変更点となっています。
また、結果ラベルも「抑圧電圧定格 (SVR)」から「電圧保護定格 (VPR)」に変更となっています。デバイスは変わらないため、サージ電流が大きくなると制限レベルが上昇し、VPR の数値が SVR より大きくなります。
スタンダード
|
UL 1449 第 2 版(旧)
|
UL 1449 第 3 版(新) |
試験
|
500A / 6kV
|
3,000A / 6kV |
タイトル
|
抑圧電圧定格 (SVR) |
電圧保護定格 (VPR) |
公称放電電流試験の導入 (In):もうひとつの大きな変更点として、試験対象となるユニット(サージプロテクターおよびあらゆる内部または外部の限流デバイスを含む)のストレス試験に、複数のサージおよび一時的な過電圧事象が課されることになりました。
タイプ 1 のデバイスは 10kA または 20kA、タイプ 2 のデバイスは 3、5、10 または 20kA で試験を受けることになります。SPD 製造業者は、試験の前にタイプとサージレベルを選択します。また、SPD 製造業者は試験対象となるユニットに適用する、モードあたりの MCOV (最大連続動作電圧)も選択します。SPD 製造業者がこれら 2 つのパラメータを決定した後、試験の開始が可能になります。
デバイスは特定の放電電流で 15 インパルスを加え、インパルスの間に MCOV が適用されます。試験に合格するためにはユニットが完全に機能しなければならず、VPR の前後の制限レベルの誤差は ±10% を超えてはいけません。
今後、試験にはあらゆる限流デバイス(内部または外部)が含まれることに注意してください。過電流制限デバイスは電流路内にあり、SPD と同様のインパルスを受けなければなりません。この試験では SPD および関連デバイス内に熱が蓄積されるため、以前の試験よりもかなり厳しくなっています。
UL 96A 照明保護マスターラベルの影響: 過去の UL 96A では、サージサプレッサは二次アレスタとして評価されるという規定になっていました。その場合、異なる規制や管理に関する問題がありました。現在、二次アレスタはタイプ 1 SPD に分類され、UL 96A では公称定格 20kA のタイプ 1 またはタイプ 2 の SPD が認められます。
米国国家規格 (ANSI) に基づく初回の認証: 現在、UL 1449 第 3 版は ANSI 規格となり、正式名称は ANSI/UL 1449 - 2006 となります。ANSI 規格は技術調査委員会による調査および投票の対象となりますが、製造業者および SPD のその他のユーザーに関する限りはほとんど影響がありません。
UL1449 第 3 版による仕様への影響
新版 UL 1449 に適合するため、装置設計者はいくつかの課題を解決しなければなりません。
最も大きな問題は、新しい用語の他に、新試験によって既存の製品が新しい仕様に適合しなくなる可能性があるということです。
--性能等級の変更 - 新試験は旧試験よりやや厳しく、結果の数値が高くなるため、既存の仕様に適合しなくなってしまいます。タイプ 3 からタイプ 2 まで、SPD 変更を必要とする装置には多数のクラスがあります。たとえば、調光スイッチなどの製品の製造業者は、自社製品が突然タイプ 2 のサージ保護機器に分類され、これまで使用してきたバリスタがすべてタイプ 3 になるという状況です。
--契約業者および販売代理店は古い仕様を基準に適合させるために無駄な時間を費やし、顧客は提出資料の評価に手間取る可能性があります。
--製造業者は UL に適合しない、または将来的にサポートされない古い製品や製造中止の製品を抱えることになりかねません。
これらの変更はどれも製品の安全性には関係ありません。実際は、リテルヒューズの既存の製品のほとんどが、修正することなく新しい標準規格に適合します。リテルヒューズは製造業者の皆様に適切なソリューションをご案内する専門性を備え、こうした状況に対応できるようにタイプ 1、2、3、4 およびその他のデバイスを幅広く取り揃えておりますので、ぜひともご活用いただければ幸いです。
UL 1449 第 3 版に定められる中間電流異常過電圧試験では、SPD が完全なブレークオーバーを起こすには不足でも、デバイスが相当量の電流を伝導するには十分なレベルの一連の異常電圧イベントの対象となり、破損や損傷を生じることなく、一定回数のサイクルに耐えなければなりません。そのためには、特定のデバイスに対する認証状況が現在は流動的であっても、選択した SPD のタイプを変更する必要があるかもしれません。もちろん、リテルヒューズは、ほとんどすべてのアプリケーションに適した過電圧保護用コンポーネンツを幅広く取り揃えています。
リテルヒューズのデバイスオプション
このセクションでは、お客様が適切な製品を選択することができるよう、UL1449 に規定される新しい 4 つのタイプそれぞれに対応するリテルヒューズのデバイスに関する詳細情報をご紹介します。「シリーズ」欄の項目をクリックすると、詳細情報およびデータシートを掲載した製品ページが表示されます。
リテルヒューズの製品に関する UL レポートはこちらをクリックしてご覧ください。
UL SPD タイプ
|
対象となるエンドユーズの SPD タイプ
|
シリーズ
|
ディスク サイズ (mm)
|
品番
|
定格電圧 (Vac)
|
シングルピーク 電流 (8x20μs)
|
突入電流(UL 公称放電電流)
|
UL作動デューティサイクル試験電流
|
最小値
|
最大値
|
アンペア
|
アンペア
|
アンペア
|
タイプ 4
|
タイプ 1、2 または 3 のアプリケーション
|
FBMOV
|
デュアル 25
|
FBMOV*M
|
115
|
750
|
40000
|
10000
|
該当なし
|
SMOV25
|
25
|
SMOV25S*
|
115
|
750
|
20000
|
10000
|
該当なし
|
SMOV34
|
34
|
SMOV34S*
|
115
|
420
|
40000
|
20000
|
該当なし
|
SMOV34
|
34
|
SMOV34S*
|
460
|
750
|
40000
|
10000
|
該当なし
|
TMOV25S
|
25
|
TMOV25S*
|
115
|
750
|
20000
|
10000
|
該当なし
|
TMOV34S
|
34
|
TMOV34S*
|
115
|
750
|
40000
|
10000
|
該当なし
|
タイプ 4
|
タイプ 2 または 3 のアプリケーション
|
TMOV20
|
20
|
TMOV20R*
|
115
|
750
|
10000
|
3000
|
該当なし
|
タイプ 4
|
その他のタイプのアプリケーション
|
TMOV14
|
14
|
TMOV14R*
|
115
|
420
|
6000
|
2000
|
該当なし
|
タイプ 5
|
タイプ 1、2、3 または 4 のアプリケーション
|
HAシリーズ
|
32
|
V*32
|
110
|
750
|
25000
|
10000
|
該当なし
|
HCシリーズ
|
32
|
V*32
|
110
|
750
|
25000
|
10000
|
該当なし
|
DHB シリーズ
|
34
|
V*DHB34
|
110
|
750
|
40000
|
20000
|
該当なし
|
HAシリーズ
|
40
|
V*40
|
110
|
750
|
40000
|
20000
|
該当なし
|
HCシリーズ
|
40
|
V*40
|
110
|
750
|
40000
|
20000
|
該当なし
|
HBシリーズ
|
34
|
V*34
|
110
|
750
|
40000
|
20000
|
該当なし
|
HFシリーズ
|
34
|
V*34
|
110
|
750
|
40000
|
20000
|
該当なし
|
HGシリーズ
|
34
|
V*34
|
110
|
750
|
40000
|
20000
|
該当なし
|
UltraMOV25
|
25
|
V25S*P
|
115
|
750
|
22000
|
10000
|
該当なし
|
DAシリーズ
|
40
|
V*DA40
|
130
|
750
|
40000
|
20000
|
該当なし
|
DBシリーズ
|
40
|
V*DB40
|
130
|
750
|
40000
|
20000
|
該当なし
|
BAシリーズ
|
60
|
V*BA60
|
130
|
320
|
50000
|
20000
|
該当なし
|
BAシリーズ
|
60
|
V*BA60
|
420
|
880
|
70000
|
20000
|
該当なし
|
BBシリーズ
|
60
|
V*BB60
|
1100
|
2800
|
70000
|
該当なし
|
該当なし
|
タイプ 5
|
タイプ 2、3 または 4 のアプリケーション
|
CIII シリーズ
|
14
|
V*C*
|
130
|
1000
|
6500
|
3000
|
該当なし
|
UltraMOV
|
14
|
V14E*
|
130
|
625
|
6000
|
3000
|
該当なし
|
UltraMOV
|
20
|
V20E*
|
130
|
625
|
10000
|
5000
|
該当なし
|
CIII シリーズ
|
20
|
V*C*
|
130
|
1000
|
10000
|
5000
|
該当なし
|
LA シリーズ
|
20
|
V*LA*
|
130
|
1000
|
6500
|
3000
|
該当なし
|
ZAシリーズ
|
20
|
V*ZA*
|
50
|
115
|
6500
|
3000
|
該当なし
|
タイプ 5
|
タイプ 3 または 4 のアプリケーション
|
LA シリーズ
|
14
|
V*LA*
|
130
|
1000
|
4500
|
該当なし
|
3000
|
RAシリーズ
|
22
|
V*RA22
|
130
|
275
|
6500
|
該当なし
|
3000
|
SMシリーズ
|
20
|
V*SM20
|
175
|
320
|
6500
|
該当なし
|
5000
|
タイプ 5
|
タイプ 4 またはその他のアプリケーション
|
ZAシリーズ
|
5
|
V*ZA05*
|
10
|
40
|
100
|
50
|
該当なし
|
ZAシリーズ
|
5
|
V*ZA05*
|
50
|
140
|
400
|
100
|
該当なし
|
ZAシリーズ
|
7
|
V*ZA*
|
10
|
40
|
250
|
100
|
該当なし
|
ZAシリーズ
|
7
|
V*ZA*
|
50
|
115
|
1200
|
500
|
該当なし
|
ZAシリーズ
|
10
|
V*ZA*
|
10
|
40
|
500
|
150
|
該当なし
|
ZAシリーズ
|
10
|
V*ZA*
|
50
|
115
|
2500
|
1000
|
該当なし
|
CIII シリーズ
|
10
|
V*C*
|
130
|
680
|
3500
|
2000
|
該当なし
|
ZAシリーズ
|
14
|
V*ZA*
|
10
|
40
|
1000
|
500
|
該当なし
|
ZAシリーズ
|
14
|
V*ZA*
|
50
|
115
|
4500
|
2000
|
該当なし
|
ZAシリーズ
|
20
|
V*ZA*
|
10
|
40
|
2000
|
1000
|
該当なし
|
タイプ 5
|
タイプ 4 またはその他のアプリケーション
|
CHシリーズ
|
8
|
V*CH8*
|
14
|
17
|
100
|
該当なし
|
25
|
CHシリーズ
|
8
|
V*CH8*
|
20
|
40
|
100
|
該当なし
|
50
|
CHシリーズ
|
8
|
V*CH8*
|
75
|
275
|
250
|
該当なし
|
100
|
LA シリーズ
|
7
|
V*LA*
|
130
|
480
|
1200
|
該当なし
|
500
|
UltraMOV
|
7
|
V07E*
|
130
|
510
|
1750
|
該当なし
|
500
|
LA シリーズ
|
10
|
V*LA*
|
130
|
680
|
2500
|
該当なし
|
1000
|
UltraMOV
|
10
|
V10E*
|
130
|
625
|
3500
|
該当なし
|
1000
|
RAシリーズ
|
8
|
V*RA8
|
140
|
275
|
1200
|
該当なし
|
500
|
RAシリーズ
|
16
|
V*RA16
|
140
|
275
|
4500
|
該当なし
|
1500
|
ZAシリーズ
|
5
|
V*ZA05*
|
150
|
460
|
400
|
該当なし
|
250
|
SMシリーズ
|
7
|
V*SM7
|
300
|
385
|
1200
|
該当なし
|
500
|
SMシリーズ
|
7
|
V*SM7
|
420
|
510
|
1200
|
該当なし
|
400
|
注:
1 「その他」は、SPD アプリケーション以外の使用に関して調査された SPD として定義されています。以下の表に、製造元でテストされたサージ定格の詳細が記載されています。
* は電圧を表し、** は相対エネルギーを表します。追加情報は製品データシートをご参照ください。
追加情報へのリンク:
UL1449 第 3 版の要件に関する範囲の定義
UL1449 の目次