アーク放電とは

アーク放電とは

アーク放電は時に、「アーク故障」と同じ意味で使用されますが、より正確に定義すると、アーク故障時に発生する光のことです。アーク故障とは電気故障の一種で、2 つのコンダクタの間にある絶縁媒体の破損に起因し、絶縁体(通常は空気)でアークを維持するのに十分なエネルギーがあるうえに、過度な光(アーク放電)と 19,000℃ もの非常に高い熱を発生させることで、爆発性の圧力波(アーク爆発)を引き起こします。このような力は、金属を気化し、機器を破損するなどして、近くにいる人を重大な危険にさらす危険な状態を生み出します。

アーク放電の原因とは

アーク放電は、コンダクタ間のギャップに電流が流れることによって発生します。その発生方法には何通りかありますが、最も一般的にコンダクタの絶縁が摩耗または破損したときに起こります。

アーク放電リレーとは

アーク放電リレーは、マイクロプロセッサをベースとしたデバイスで、放電の兆候を検知する光学センサーを使用しています。センサーは、スイッチボードのさまざまなキュービクルやドローアに戦略的に配置されています。発生しつつあるアーク放電を素早く検知するためアーク放電リレーを取付けることで、全体的な除去時間とアーク故障で放出されるエネルギー量を大きく削減します。その結果、装置へのダメージが減少し、近くの人が重傷を負うことも少なくなります。

アーク放電リレーが重要な理由

アーク放電リレーは、システム内の入射エネルギーの量を減らすため、電気キャビネットに必要なコンポーネントです。アーク放電リレーでアーク放電の発生を防ぐことはできませんが、その程度を軽減することで、重要な資産や従業員の安全が確保されます。アーク放電リレーは、損害を最小化し、コストや時間を節約して命を守るアーク放電保護スキームに不可欠なコンポーネントです。

一般的なアーク放電事故におけるエネルギーの量

480 V のシステムにおける 20,000 アンペアの故障電流での相間故障には、9,600,000 ワットの力があります。仮にアーク保護がない状態で、過電流保護が作動するまでの 200 ミリ秒間、故障したままだったとすると、放出されるエネルギーは最大 2 メガジュールに達すると予想されます。これはダイナマイト 1 本程度に相当します。

アーク放電のエネルギー公式:
エネルギー = 電圧 x 電流 x 時間
480 V x 20,000 A x 0.2 s = 1,920,000 J

システム電圧を維持して、2 つの要因、時間と電流を調節することで、アーク放電エネルギーを抑えることができます。

時間は PGR-8800 または AF0500 などのアーク放電リレーを使って短縮し、アーク放電を素早く検知することできます。アーク放電リレーにより接続されている回路ブレーカーが瞬時にトリップし、反限時の遅延をオーバーライドします。電流は、限流ヒューズ、あるいは相接地短絡の発生に備える高抵抗接地を利用して抑えることができます。

アーク放電リレーの電気記号とは

公式な記号はありませんが、リテルヒューズでは以下を使用しています:


リテルヒューズはいつからアーク放電リレーを製造していますか。

リテルヒューズは、20 年近くにわたりアーク放電リレーを製造してきた Selco から2011年にアーク放電技術を取得しました。当製品は、2011年8月に北米での発売が開始されました。リテルヒューズは世界中に多数の設置実績を誇り、推定 18,000 のアーク放電リレーを世界中に設置しています。

アーク放電リレーを選ぶ際の主な検討事項とは

アーク放電リレーの最も重要な要素は以下の通りです:

  • 反応時間
  • トリップの信頼性
  • 取付けの容易さ
  • センサーの柔軟性
  • ソフトウェア
  • センサーの設計
  • 不要なトリップの防止
  • 拡張性

アーク放電リレーを選ぶ際に検討すべき事柄について詳しくは、ホワイトペーパー「アーク放電リレーを選ぶ際の主な検討事項」をご覧ください。

アーク放電の影響

アーク放電は制御されていない、激しい電気エネルギーの発光放電で、本来なら絶縁する媒体に電流が流れる際に発生します。アーク短絡の最も一般的な原因は絶縁不良です。これらの不良の要因は欠陥があったり老朽化した絶縁素材、不十分あるいは誤ったメンテナンス、ほこり、湿気、害虫(害獣)、人的エラー(テスト用プローブを不適切な表面に接触させた、またはツールが滑って通電導体に触れたなど)によって引き起こされる場合があります。アーク放電事象は危険なもので、人(作業者)の命に関わる恐れがあります。OSHA によると、産業におけるアーク放電事象は、資格を持つ電気作業者における電気関連の事故や死亡原因の約 80% を占めています。作業員の怪我が避けられた場合でも、アーク放電は機器を破壊し、結果として機器の交換やダウンタイムによる損失を被るのは避けられません。