CT 選定ガイド

変流器 (CT)

変流器は、一次電流に比例した電流を二次回路内に発生させる変換器として定義されます。

CT(変流器)にはさまざまな種類がありますが、ここでは窓型(またはリング型)タイプについてのみ取り上げます。窓型 CT は、リング型のコアを擁する設計からその名が付いています。このコアは、1 本の細長い強磁性材料をリング状にきつく巻いたものです。

CT は、図 13 に示されるように、磁束平衡の原則に従って作動します。一次巻線が通電され、二次回路が開回路となっている場合、変流器は鉄心インダクタになります。一次電流は、図に示されるようにコアの内部に磁束を発生させます(磁束の方向は右手の法則に従って決定されます)。二次巻線が負荷に接続されているか、短絡である場合、電流は二次巻線を流れ、一次電流によって発生した磁束に反するようにコア内部に磁束を発生させます。損失を考慮しなければ、二次磁束と一次磁束は完全に均衡が取れています。この現象は「レンツの法則」として知られています。

 

 

リード長

CT の二次リード抵抗は、特に低電圧 - 電流 (VA) CT の場合には無視することができません。例として、電子過負荷リレーを参照してみましょう。

このリレーの CT 入力インピーダンスまたは負荷 (ZB) = 0.01Ω
最大電流 (I) = 10 A
CT 定格 (P) = 5VA

ここで、10A 二次電流の定格精度に影響する #14 AWG リードの最長を求めます。最大合計インピーダンスの計算 (ZT):

P = I²ZT ZT = P / I² = 5 / 10² = 0.05Ω

最大リード抵抗の計算 (ZW):

ZT= ZW + ZB ZW= 0.05 – 0.01 = 0.04Ω

#14 AWG 抵抗を見ると、2.6 オーム / 1000 フィートと等しいことがわかります。すなわち、リード長 = ZW / #14 AWG 抵抗リード長 = (0.04 x 1000) / 2.6 = 15.4 フィートとなります。

CT の取り付け

CT は二次開回路と共に作動させることはできません。一次電流が流れているときに二次回路が開回路になると、二次電流は磁束平衡を保つために流れ続けようとします。二次回路のインピーダンス量が低値から高値に増加すると、二次巻線の電圧が電流の流れを維持するために十分なレベルにまで上昇します。二次電圧が二次巻線の降伏電圧に達すると、絶縁が機能しなくなり、CT に損傷が及びます。さらに、この状況は人間にショックを与える危険性を生み出します。

リング型 CT を使用して単独または複数のコンダクタを監視する場合、以下に示されるようにコンダクタを CT の窓に集結し、CT に対して直角になるように配置しなければなりません。

アプリケーションによっては、CT の窓を通してプライマリコンダクタを取り付けることが難しいか、不可能な場合があります(例:既存のバスバー構造)。そのようなアプリケーションには、時にスプリットコア CT が使用されます。スプリットコア CT の性能はソリッドコア CT よりも劣る可能性があります。左側の図が誤った設置方法であり、右側が正しい設置方法です。

図 14

CT 特性は通常、50 または 60Hz のように単独の周波数で特定されます。それゆえ、CT を可変周波数デバイス (VFD) で使用するとどうなるかという疑問がわいてきます。60Hz で約 10x 定格の一次電流に比例する CT の場合、ボルト / ヘルツ比はおおよそ一定となります。つまり、6Hz という一定値における状況では、どのような場合でも CT は 1x 定格電流にのみ比例し、30 Hz では 5x 定格電流に比例することになります。標準的なシリコン鉄心 CT の場合、周波数帯域幅の上限は約 5kHz です。