接地事故(地絡)とは
接地事故とは、通電コンダクタと地面または装置の枠組みの間における不測の接触を意味します。地絡電流の帰還路は、接地システムおよびそのシステムの一部となる人物または機器を通ります。漏電の原因の多くは絶縁破壊です。湿度、水分、埃が多い環境では、設計およびメンテナンスにより注意を払う必要があることを理解しておくことが大切です。水分は導電性を持つことから、絶縁低下を引き起こして危険な事故の発生率を高めます。
接地の目的
電気システムを接地する第一の目的は、電気故障に対する保護の提供です。しかしながら、この目的は 1970年代になるまで達成されませんでした。それ以前は、商業および工業向けのシステムのほとんどでアースは設置されていませんでした。非接地システムは最初の漏電では大きなダメージを及ぼしませんが、漏電に関連する被害があまりに多く発生したため、接地に関する考え方に変化が起こりました。接地システムには、ショックの危険性の軽減や雷に対する保護など、その他の利点もあります。
電気故障は、相関故障と漏電という 2 つのカテゴリーに分けられます。数々の研究により、電気故障の 98% が漏電であることが明らかになっています(出典:Woodham, Jack, P.E. 「The Basics of Grounding Systems」2003年5月1日 )。ヒューズを相関故障から保護できる場所においては、一般的に保護リレーなどの保護を追加して漏電から保護することが必要になります。
障害の主な原因
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全体に占める割合
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湿気への露出
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22.5%
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ツールや齧歯動物などによるショート
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18.0%
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埃への露出
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14.5%
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その他の機械的損傷
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12.1%
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化学物質への暴露
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9.0%
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経年による通常の劣化
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7.0%
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表 1
たとえば、下記のトースターの回路では、黒のワイヤー(熱線)がトースターの金属ケースに短絡されています。回路が閉じると、すべてまたは一部の回路がトースターのケースを通じた経路をたどり、緑のアース線に流れます。十分な電流(通常 6 x 15 A = 90 A)が流れると、回路ブレーカーが開きます。5mA という低電流を検知するために保護リレーを設置することで、非常に低いレベルでも回路ブレーカーが開き、通常の回路ブレーカーより極めて迅速な対応が可能になります。
上記の例は確実に接地された単相回路ですが、後に説明する 3 相回路でも原則は同じです。リレーおよびモニターは、電流、電圧、抵抗、温度のわずかな変化を検知し、表 1 に示される主要な故障誘因を特定するために設計されています。
漏電リレーが誤ってトリップする原因にはどのようなものがありますか?
そのひとつは、高調波、高周波のノイズ、特に第 3 高調波が故障電流として現れてしまうことです。ユーザーがさまざまな可変周波数のドライブ、インバータ、蓄電池 / UPS、さらには LED 照明まで使用するようになり、電気的ノイズの問題は広がりつつあります。不要なトリップを防ぐためにも、高周波やその他のノイズを測定してしまうことのない高品質の漏電リレーをお選びください。
非接地システムの代わりに接地システムを使用するメリットは何ですか?
非接地システムで最も懸念されていることのひとつは、過渡過電圧のリスクです。断続的な漏電やアーク放電の伴う漏電が起こるとシステムの電圧は上昇し、絶縁体に圧力がかかって劣化を招き、システムの電圧が通常の 6 倍以上にもなることがあります。また接地システムのメリットとして、漏電の場所を簡単に特定できることも挙げられます。非接地システムは、初回故障箇所に地絡電流を通さず、代わりにシステム全体の故障発生位相の電圧を低減します。接地システムでは電流ベースの漏電リレーが使用できるため、故障の箇所が正確に分かります。
故障の種類はいくつくらいありますか?
故障には、相間、3 相、地絡の 3 つのタイプがあります。相間故障(「短絡回路」)は、デバイス内に過剰な電流が流れ、ワイヤーが焼き切れることで起こります。ダンキ・ジェイコブスの教本によると、故障の 95% は地絡で 4% は相間故障、1% が 3 相故障であることが分かっています。
漏電リレーの働きを教えてください。
電気回路では、電流はもとのソースに戻ります。電流ベースの漏電リレーは、次の 2 つ方法のどちらかで地絡漏電を検知します。1.) 零相。この場合は、リレーは、ソースから戻って来る電流が同じコンダクタに流れているか位相コンダクタを監視します。異なる経路(通常は地面)をたどってソースに戻ってくるものがあれば、その差を漏電リレーが検知し、さらにそれが所定の時間内で設定されている範囲を超えていた場合はリレーが作動します。2.) 直接測定。漏電リレーはまた、変圧器の中間点と地面との間の接続の電流を測定することもできます(中性点接地抵抗器付きの場合も可能)。システム内のどこで漏電が発生しても電流はこの経路を通って戻ります。